以前のブログで陶芸と絵画は似たり、
土の塊と白いキャンバスのように「無」からスタートすることにあり、
これに対し、木工と写真がまた似たり、
木目や風景のように既にあるものからの「自分の感性での切り取り」で似たり・・・、
と書きました。
今回の3.1mのカウンターテーブルの製作で感じたことは別の意味での陶芸と木工の違い、
陶芸作品の場合は、ある時間を掛けていくつの完成品を作り出すかが作品価格の基準になります。
形の成型から、素焼き、釉薬掛け、本焼きなどの工程で積み重なった時間を最終的には、完成品の数で割ることによって、単価が決まります。
所謂「和差積商」の「商」の概念です。
実際には単価の概念が先にあって、それを基に1時間に何個作らなければならない、と言うような思考をしているように思います。
これに対して木工作品の場合は最終製品はたったの一つですから、色んなものが作品価格の上に積み上げられていきます。
材料費、加工費、塗装費、運送費などなど、
これらを積み上げる「和」の概念で木工作品の価格は決まるように思います。
場合によっては金具一つが足りないための買出しに行く費用だってかかってきますが、こんな内容まで積算していたのでは天井知らずの価格になってしまいます。
多分、木工作家の方は、同時並行で複数の作品を制作することによって、空き時間をなくしたり、資材や部品の一括購入などで無駄な時間を省いたりされているのだろうと思った次第です。